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食品や生花は、高湿度 (95%以上) + 低温 (0℃近辺) 状態で保管することで、非常に長い期間、ほとんどそのままの状態で保管できます。食品は よりおいしくなるものさえあります (氷室と同様に 糖化が進んだり、肉の熟成も最適条件で進みます)。
しかしながら、よく知られているように、気温を下げると飽和水蒸気量の限界から、どうしても乾燥してしまいます。車で除湿する際にエアコンを入れるのをご存じかと思います。
したがって、従来の多湿・チルドを謳う冷蔵機器は、ミストや蒸気を噴霧することで強引に多湿にする方法を採っています。ただこの方法だと、最大の課題であるデフロスト (霜取り) が必要になる上、頻繁なデフロストと蒸発温度の低下のためエネルギー効率がかなり悪くなり、またミストがバクテリアを運ぶ危険性もあります。それゆえ、細かな制御はできません。
また、冷蔵と並んで重要な「冷凍」分野で最大の課題の一つは「解凍」です。冷凍前のそのままの状態に戻す のは、実はかなりむつかしく、内容物のドリップが出るなど、どうしても品質が悪化せざるをえないケースが多くなります。
当社の「うるおい氷点貯蔵技術」(「0℃ 99%」と名づけました)は、これまでとは全く異なる革新的アプローチで、これらの問題をすべてクリアし、かつ温度と湿度を独立にコントロールができます。食品や生花の種類ごとに、最適な温度・湿度設定が可能となるわけです。庫内空気ムラや風ムラなども生じません。
きちんとした熱力学に基づいた技術で、原理が怪しいようなものではけっしてありませんし、検証済みです。
これによって、数日→数週間、数週間→数ヶ月 といった鮮度を保ったままで長期的の保管が可能となります。
食品加工の領域では、時間的制約から解き放たれ、はるかに効率的なサプライシステムを構築できます。
食料供給面でも、市場の値動きを見ながら、最適な意思決定ができます。
花卉も、時間が勝負の実態を緩和することができ、また需要のピーク平準化ができ、海外からの輸入も海上輸送が可能となるなど、ビジネスのあり方を変えることができます。
それだけでなく、低温多湿状態での保管によって、食品の味も、(もちろん食品に依りますが) まさに「ひと味違う」ようになります(じゃがいもなどは,とっても甘くなりますし、お米でも ひと味グレードアップします)。
また「冷凍食品の解凍」という分野では、ドリップのほとんど出ない解凍が可能となるばかりでなく、熟成による品質向上効果が現れる食材や食品もたくさんあります。いちど食べ比べてみてください。
このすばらしい「うるおい評点貯蔵」技術は、さまざまな用途に合わせた製品化が可能で、現在、食品用と花卉用に、コントローラーの開発と並行して、複数の製品を開発中です。
業務用ですが、近いうちに、みなさんのこの技術を用いた冷蔵庫を目にされる機会が出てくると思います。
もうひとつ、この技術のビジネス機会として考えているのが、発展途上国のコールドチェーンです。途上国は青果物のコールドチェーンがほとんど構築されておらず、ポストハーベストロス が なんと 50% に及んでいます。
この膨大なロスをなくし、機会に恵まれない生産者の人たちに、大きなビジネスの機会を提供することが、実はこの技術開発の最大の目的でした。
この技術を断熱加工したコンテナに組み込み、コンテナを「動くうるおい氷点貯蔵冷蔵庫」に改造し、トラックで移動する形でコールドチェーンを構築すれば、日本型の投資集約型コールドチェーンではなく、一台数百万円からコールドチェーンを構築できます。
これが「コンテナ冷蔵庫」プロジェクトで、写真は、もっとも小型の12フィートコンテナをコンテナ冷蔵庫に改造したものです。通常は、20フィートあるいは40フィートコンテナを用いることになります。
このようなコールドチェーン構築によって、たとえばラオスの高原野菜をバンコクの市場で販売することも可能となるわけです。SDGs (Sustainable Development Goals) の重要性が認識されてきた昨今、まさにそれを地で行くプロジェクトになるわけですね。
いま、いくつかの現地企業と準備を進めています。
花卉業界は,花卉の鮮度が命である一方で,需要のピークがお盆や母の日など,いくつかのイベントに集中していて,そこが事業拡大のネックになっていました。
コンテナ冷蔵庫は,入荷した花卉を新鮮な状態で数週間の貯蔵を可能にすることで,このピークを「ならす」ことができ,花卉業界のビジネスモデルの最大の問題をクリアすることが可能になります。
このたび,花卉業界大手のA社に対し、うるおい氷点貯蔵技術を用いた定置型20フィートコンテナ冷蔵庫を納入いたしました。
このたび、レストラン事業の企画開発等を行っているB社と共同で、うるおい氷点貯蔵技術を用いたフードストッカー(業務用冷蔵庫)を開発し、納入いたしました。
レストランなどの場合、おいしさをそのまま維持した状態で「作り置き」することができれば、ビジネスオペレーションに画期的な変革をもたらすことができるのですが、その保存技術には多くの問題がありました。
このたび、弊社のうるおい氷点貯蔵技術を活用し、調理後の料理を数時間~数日程度間保存することが可能となり、これにより、厨房の作業効率が格段に改善されるものと期待されています。
間接式クーラ(通常のエアクーラ) | うるおい氷点貯蔵(0℃ 99%) | |
概念図 | ||
概説 | 一般的に空調・冷蔵に使用されているクーラである。フィン付きのチューブの中を冷たい冷媒が通る。一般的には冷媒液がチューブの中に供給され、それが蒸発するときの蒸発熱を利用してチューブの外を通る空気を冷却する。熱交換面積を増やすため、フィン付きのチューブを利用する。 | 上図に示すように、充填材の上から冷水を散水する。冷水は液膜状で下方に流れていく。一方庫内空気は下方から供給され冷水と熱交換しながら上方に流れる。 |
効率 | 30〜40 kcal/m2h℃ | 100〜150 kcal/m2h℃ |
能力 | 価格的、構造的に体積あたりの面積が小さく、上記効率も直接接触式に比較して、1/3〜1/4と低いため容積あたり熱交換量は少ない。 | 比表面積が非常に大きく、また総括伝熱係数が間接式に比較して4倍取れるため、容積あたりの能力が極めて大きい。 |
霜付 | 5℃以下の空気を得ようとすれば、冷媒の蒸発温度は氷点下となり、伝熱管の表面に着霜する。フィンを利用すると霜の成長も早く深刻な伝熱不良の問題を引き起こす。頻繁なデフロストが必要になりそれがまた。負荷を増大させる。湿度調整のために加湿器を使用すると加湿による水蒸気は全て着氷してしまう。 | 2℃の湿潤な冷却空気を得るのであれば、アイスウォータを使用する。弊社の新技術では、余分な水分は冷水に吸収され、湿度が足りない時には冷水が蒸発する。(物質移動を伴う熱交換)1℃以下もしくは氷点下の冷却空気を作るためには、不凍液を使用する。 |
温湿度制御 | 伝熱面積が比較的小さいため、クーラ出口の空気は乾いたものとなる。加湿器なしでは湿度コントロールは出来ない。 | 充分な伝熱面積が取れるため小さい温度差で熱交換ができる。それが、湿潤な冷却空気が作れる理由である。 |
4週間保存した輸入花
4週間保存した仏華
3.5ヶ月貯蔵した白菜
実際に試してみました:
これは一例です。個々の食材や花卉に最適な温湿度条件で保存したわけではありませんでしたので、貯蔵する品目に応じた最適化によって、さらに効果は大きくなるはずです。
おっしゃっていただければ、試験いたします。